クマを襲う犬ではなく、クマを追い払う犬ベアドッグ。
日本では頭数が少ないため、知らないかたも多いのではないでしょうか。
熊と人間の共存を目指す手伝いをしてくれるベアドッグ。
いったいどんな仕事をしているのか?どんな犬種なのか?など気になる情報をまとめました。
ベアドッグとは
ベアドッグとはクマ対策のために働く犬のことを指します。
ベアドッグは、くまの匂いを察知するための訓練を受けた犬です。
クマを襲うためではなく、いちはやく気が付き、ハンドラーの指示にしたがって
吠えることで、クマを近づけないように追い払います。
ベアドッグの歴史
日本で初めてベアドッグが導入されたのは2004年になります。
NPO法人ピッキオが、アメリカのベアドッグ育成機関Wind River Bear Instituteからベアドッグを導入、ブレットがやってきました。
その後2017年にベアドッグ繁殖プロジェクトが始動され、多くの支援が寄せられ、2018年に日本初の繁殖に成功、出産に至りました。
現在軽井沢で訓練を行っています。
「レラ」と「エルフ」の近況です。
「軽井沢ピッキオ日誌」更新しました。#軽井沢 #ピッキオ #ベアドッグhttps://t.co/w2L2QTlwP6— ピッキオ (@picchio_picchio) 2019年4月21日
ベアドッグの役割・仕事について
クマの追い払い
一番はまず追い払いです。
クマを人の住むエリアに近づけさせないよう吠えて追い払うことで、クマにここはいてはいけないと学習させます。
クマを襲うことはせず、距離を保って追い払うため、お互い傷つかずにすみます。
クマの移動経路を特定
すでにクマがその場を離れていても、匂いで経路を特定、付近の安全を確認します。
スタッフの安全確保
電波発信機をつけていないクマが近くにいる場合、ベアドッグの匂いや音の察知能力が役に立ちます
クマを追い払う方法って?
クマの動きを把握するために、電波発振器を装着しています。
1998年から約100頭以上のクマに装着しているそうです。
この発振器により、クマの動きを把握し、人里にクマが近づいているときにベアドッグによる吠え立てを行いクマを追い払います
クマは頭が良いため、こちらを繰り返すことで人里に近づかないよう学習させます。
ベアドッグによる追い払いの時期
軽井沢町では、クマが活発に動く6月から10月にかけて追い払いを行っています。
時間は深夜から早朝にかけて毎日活動しているとのこと。
ベアドッグに向いている犬種とは
カレリア犬(カレリアン・ベアドッグ)が適しています。
もとはヒグマ猟に使われていた犬種です。
クマに襲いかからずに吠えて木の上に追い込むことを得意とします。
クマを傷つけずに追い払うのにピッタリだと言われています。
カレリアン・ベア・ドッグの見た目
白と黒(ブラックアンドホワイト)の毛色が特徴的です。他の毛色は認められていないとのこと。
耳は立ち耳で、尾が丸いことから、日本犬によく似ています。
筋肉質で運動量の多い犬種です。
カレリアン・ベア・ドッグの体高、体重
体高はオス57-60センチ、メスは52-55センチの中~大型犬です。
体重はオス25-28kg、メスは17-20kgです。
カレリアン・ベア・ドッグの性格
主人に対して忠実な犬です。リーダーとして認めた人に服従するため、しっかりとした訓練が必要です
見知らぬ人や犬に対して警戒心が強く、攻撃的になることもあります。
猟犬として育てられているため、吠え声も大きいです。
カレリアンベアドッグはペットショップにいるの?販売店は?
カレリアンベアドッグはペットの〇〇などのような国内のペットショップでは扱っていないようです。
アメリカから個人輸入して飼っている方もいるみたいですが、とても少ないでしょうね。
元々猟犬であり、自分が主人と認めた人以外には服従しないといった意志の強い犬です。
かわいいなーという気持ちだけで一緒に暮らせる犬ではないということを理解しておきましょう。
ベアドッグの繁殖
以前はアメリカのベアドッグ育成機関から犬を輸入していましたが、2018年についに日本での出産に成功しました。
日本では2018年3月から4月にかけて計6頭の子犬が生まれています。
(メス5頭、オス1頭)
ベアドッグの適正
生まれた子犬がすべてベアドッグとして働くことはできません。
生後三ヶ月ころに適性テストを行います。
子犬たちの生まれつきの人間や物への支配欲、執着力、狩猟欲や独立心などを見極めるテストを行います。
テストは約三週間で、素質のある子犬だけをベアドッグとして訓練します。
2018年に生まれた子犬のなかで、適正があると判断され訓練を始めたのは2頭のみとなっています。
ベアドッグの訓練
ベアドッグの訓練とはどんなことを行っているのでしょうか
クマに興味を強くもつ訓練
クマの毛皮をかじらせてクマの臭いに慣れる。
いきなりクマの匂いを探索させたり追いかけさせたりはしません。
まずは興味をもたせて、クマの仕事を好きになり自信をもつようにします。
しっかりクマの匂いを覚えたあとは、ニオイ探索を上達させるための実践的な訓練に入ります。
臭いの量を変えてみたり、探索距離の変更、天候や環境、時刻などを変えて
難易度を上げながら訓練していきます。
爆発音への慣れ
また爆発音への耐性訓練も行います。
ロケット花火を撃ち音に動じない訓練です。
クマ対策では大型の花火や銃砲を使用するため、必要な訓練となっています。
いきなり大きな音を聞かせるわけではなく、少しずつ慣らしながら最終的には間近で大型花火が爆発しても落ち着いていられるようにしてきます。
ベアドッグの育成にはすごく時間がかかります、
コツコツと確実に階段を登らせることが大切なんですね。
ベアドッグ まとめ
クマ対策の犬・・・ということで、初めて聞いたときはクマを襲う犬なのかと思ってしまいましたが、実際は違いました。
むしろ、クマを傷つけずに追い払うことを目的とした犬なんですね。
まだまだ頭数も少ないですし、訓練にも時間がかかるため大変だということもわかりました。
しかし導入後は、軽井沢住宅地でのクマの目撃件数が36件から9件に減少したということもあり、結果も残しています。
新しく訓練中のベアドッグ候補生レラとエルフちゃん、頑張ってほしいですね。
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